伊豆の弓ヶ浜では毎年9月15日頃に伊勢海老漁が解禁になります。
伊豆半島の最南端の南伊豆町は40kmにも渡る複雑なリアス式海岸で囲まれていて、伊勢海老、アワビ、トコブシ、シッタカ、サザエなどの魚介類が豊富に収穫されます。
そのうち伊勢えびは月が出ない新月の前後10日間のみ弓ヶ浜周辺の荒磯にエビ網が投入され、翌日の日の出前にエビ網を揚げに行きます。
エビ網は一反5mくらいで四反20m単位で沖根や地浦根に打ちます。海底の根を完璧に覚えているからできる職人芸です。南伊豆の漁師は荒磯ギリギリに網を打つのでいつもひやひやさせられます。
10月24日、この写真の日も波高1m以上ありましたが、そそり立つ岩壁にあるエビ根の寸止めまで漁船を接近して網を打っていました。海底状況、潮の流れ、風の変化が正確に頭に入っていて、かつ、全長7mある漁船を波の上でマイカーのように車庫入れできなければ、船は岩壁にブチ当たり大きなダメージを受けます。最悪転覆で命を落とします。
実際、伊豆半島全体では毎年一人はエビ網漁で亡くなっています。伊勢海老のエビ網漁師は腕と度胸があるトップアスリートでなきゃ務まりません。
今日の南伊豆漁協での伊勢エビの時価はキロ7,000円です、ホテル旅館で出しているのは活200gくらいだから原価は1尾1,400円くらいで、都会の寿司屋なら最低4,000円はとられるでしょう。
なぜこんなに高価なのか?その理由の一つ、おわかりいただけましたでしょうか?
ところで、弓ヶ浜には伊勢エビよりうまいものが少なくても5つあります。1kgオーバーの地キンメ、1kgオーバーの黒ムツ、石廊沖のスルメイカ、神子元沖のタカベ、地磯根付きの40cmオーバーの黄金アジ。南伊豆の漁師以外で上の一つでも食べたことがある人は相当なシーフードの食通グルメです。この話題は次の機会にブログしますね。
この日の弓ヶ浜の伊勢海老あみ漁の様子は以下のyou tube動画で掲載していますのでご覧ください。