今朝8時頃、携帯電話が鳴った、懐かしい声がした、「これから弓ヶ浜でアウトリガーカヌーの進水式をやりますけど、顔出しませんか?」
日本全国をアウトリガーカヌーで旅をしながら、その先々の海岸や陸地を清めて回る海の聖、そして本場ハワイ諸島でも幾度となく島渡りを行って現地の人々から尊敬の念を持って「Duke 」と呼ばれているデューク金子さんだった。
弓ヶ浜に出てみるともう一人の男がピカピカの新艇のそばに立っていた。弓ヶ浜で30年以上もシーカヤックをガイドしたり指導したりしている塩島さんだった。南伊豆のシーカヤックの第一人者で神子元島まで200回以上も往復している伝説の人である。
海の神の使いのようなこの二人が弓ヶ浜に立っているだけで海岸には何かただならぬ雰囲気が漂っていたが、これから塩島さんの新艇アウトリガーカヌーの進水式の儀式が始まるらしい。なんかドキドキしてくる。南伊豆でアウトリガーカヌーをクラフトしている高山さんも合流してきた。
まずは3人でハワイ語の歌が手拍子つきで合唱された。意味はまったくわからいけどなんか懐かしい言霊とリズムだった。そして、デュークが塩を持ち、塩島さんが日本酒を持ち、二人で新艇のすべての場所を清めて回る、そして、海に入り海を清める。
次に、全員で手をつないで輪になって祈りを唱える、日本酒を回し飲みして全員がお清めした。すべてのお清めが終わった後、デュークと塩島さんはそれぞれのアウトリガーカヌーをひょいと肩に担いで入水し沖へ漕ぎだした。
すべてが簡単な儀式だけど、なぜか写真を撮りながら自分の気持ちが昂揚してきているのに気がついた、不思議だけど。
進水式の儀式が終わって、我が家でコーヒータイムになった。2時間ほど二人のカリスマを交えて超ハイレベルな「海とアウトリガーカヌー」のお話を拝聴した。
デューク曰く、
「森本さん、日本では神社の御神輿を担いでお祭りしますよね、ハワイではアウトリガーカヌーがその御神輿なんですよ、だからアウトリガーカヌーの置き場所って神社のような神聖な場所なんです、単なる遊び道具ではないんですよ・・・」
「で、ポリネシアの人々は自分たちの先祖は東方(中国大陸)からカヌーでやってきた、と信じています、だからつい200年前まで日本の古代祭祀のような日常生活が続いていたんです、日本人がまるっきり忘れてしまったものがそこにはまだ残っているんですよ・・・」
いや~深いですね、これは。こんなスピリチャルな文化論を聴きながら、私もだんだん興奮してきました。何か大きな霊的エネルギーをもらったように感じました。
南伊豆とアウトリガーカヌー・・・この組み合わせに何か inspiration を感じました。
歴史的に観ても、河津町の見高段間遺跡(5000〜8000年前、縄文早〜中期)から神津島で採掘された黒曜石が大量に発掘されており、その時代に伊豆半島と伊豆七島の間では海上輸送が日常的に行われていたことが明らかになっています。
さらに、時代をさかのぼって、神奈川県の相模原橋本遺跡から22000年前(後期石器時代)の神津島黒曜石が発掘されており、丸太をくりぬいたアウトリガーカヌーで海上輸送されていたと推定されています。
だから、南伊豆とアウトリガーカヌーの組み合わせは2万年の時を越えて今によみがえった・・・ということになるでしょうか、2万年ですよ、ハンパないです。
デュークと次回会うときには一緒にアウトリガーカヌーを漕ぐことを約束してお別れしました。
南伊豆とアウトリガーカヌー・・・おもしろそうです。