台風12号が接近中で、このまま直進してくると、9月3日の朝9時に四国の潮岬付近に上陸予定とのこと。
私は台風の時期になるといつも想い出すお客さんがいる。石山さんファミリーだ。7年連続で毎年夏に弓ヶ浜に5日間滞在している長期滞在型の常連さんで、その7年間のうち2回が台風と重なった。長期滞在なので私もさすがに気になって「今年も台風と重なりましたね、どうされますか?」と尋ねると決まってこう返答してくる。「わ~今年もラッキーですね、伊豆半島最南端の台風が体験できるなんて、もちろん予定通り行きますっ!」。
そして、当日、弓ヶ浜の風速20mの中、カッパ着てコテージから飛び出して、家族全員ずぶ濡れになって南伊豆弓ヶ浜の海を見物している。ログコテージの窓の隙間から雨が漏れだしても、「家族全員でどんぶりもって走り回って楽しかったです!」。
また、4年前、台風の中でバーベキューをしたことが、いまだに家族全員の熱い思い出になっているそうで、「あんときはすごかったねえ」と家族が集まると今でも話題になるそうです。
あっ、これこそがアドベンチャーファミリー!これこそが環境教育!と心の中で叫んでしまいました。台風に感動している石山ファミリーに心から敬服し、感謝し、感動したのを昨日のように覚えています。お父さんの職業が東京都の教育関係者だと知ってとても嬉しくなりました。
あれから数年がたち、現在、お姉ちゃんは高校に、お兄ちゃんは中学に進学して忙しくなり、もう弓ヶ浜にこれませんが、私の記憶の中では永遠に生き続けています。そして、この台風アドベンチャーファミリーのお話は、私が生きている限り、語り続けて行くつもりです。
「沈黙の春」、「A sense of wonder」の著者で、環境教育の分野で世界的に有名なレイチェル・カーソンも、その書籍の中で、台風が来るたびに3才の孫を海岸に連れ出して、大自然の力を体験させていた、と回想していました。
自然の力の前では我々人間の力はまったく無力です、それを小さい頃から体験として教えることこそ環境教育の第一歩であることを、レイチェル・カーソンは訴え続けていました。
あの石山ファミリーは「台風に弓ヶ浜に来る」ということを断行することによって、本当の環境教育のありかたを私に教えてくれたのです。
石山ファミリーのみなさん、ありがとう。