私は昨年50になった記念としてサーフィンを始めました。
12年前、脱サラして南伊豆の弓ヶ浜前に移住してきて毎日海を目の前に眺めながら生活してきました。
磯釣り、ボート釣り、シーカヤック、漁師、遊漁船、などなど生活と海との関係が日増しに深くなっていますが、サーフィンだけはやりませんでした。
弓ヶ浜でもいい若者がサーフボードを股間にはさんで沖を眺めながら波待ちしている風景が嫌いだったのです。
ハワイのノースショアのような数メートルの大波を滑り降りるのなら「男らしい」スポーツかなと思いますが、日本の海水浴場の小波で何時間もプカプカ浮いている彼らを見るたびに「こいつら、何もすることがないのか、アホのように時間だけを浪費して、まったく人生の無駄使いをする奴らだ」と怒りさえ感じていました。
だからサーフィンだけには手を出さなかったのです。
ところが、私が経営する貸し別荘コテージで、数年前から、海水浴シーズンを除いて1年中サーフィン目的で宿泊するお客様が増えてきたのです。
それも、京都、長野など長距離から来るのです。で、客層も私が想像していた「人生の無駄使いをしてる奴ら」ではなく、都会でむちゃくちゃ仕事が忙しいと思われる人達が多かったのです。
私の「サーファー」に対する見方が少しずつ変わっていきました。
サーフィンって何?
どんだけオモロイの?
それを知るため自分も始めてみたのです。まず、白浜の「マリーナ」というサーフショップに行き、8000円の個人レッスンをうけました。もちろん先生は女性を希望しました。男のインストラクターに「ああ~ダメダメ!」なんてひとこと言われたら間違いなく「なんだこのヤロー!」となると思ったりしていました。3時間の個人レッスンでしたが最後の10分で自分がパドリングしてテイクアウトしてサーフボードに数秒間立つことができました。
な、な、なんなんだ、この感覚は、快感っ!
ちょっと表現しにくいですが、例えて言えば、野球のバットでボールが芯を喰ったような、ゴルフのロングアイアンで芯を喰ったような、そんな快感が数秒間続いたって感じです。もちろん、上級者は10秒、20秒、、、とあの快感を味わい続けることができるわけで。これが全世界の若者を虜にするサーフィンの正体なのか、と初めてサーフボードに3秒立てた50才のオヤジは叫び声を出してしまいました。
その3時間の個人レッスンが終わるやいなや、サーフショップで9ftのロングボードとリーシュコードを買っていました。2010年8月25日のことです。あれから、数回乗り、ウェットスーツを買わなかったので秋冬春はパスして、翌年の今夏からスープでテイクオフの練習をくり返しています。
南伊豆には有名なサーフィンスポットが多く、白浜、多々戸浜、入田浜、大浜などが連なっています。そして、うちの貸し別荘コテージの目の前の弓ヶ浜でも、最近海底が変化したようで、多くのサーファーたちが海に入ってくるようになりました。
先月、念願のウェットスーツも買ったので白浜から弓ヶ浜まで毎日どこかの海に入ってテイクオフの練習をしています、ハングテンを夢見て・・・
ミイラ取りがミイラになってしまったような話でしたが、これが50になった私とサーフィンとの出逢いです。